2018年がスタートし、いつのまにやら1月も終わり、
今日から2月がスタートして…月日が経つのは早い
もです。
寒い日が続き、インフルエンザも全国的に猛威をふるって
おりますので、私も用心しないとなと感じております。
月間登記情報に下記のような先例が掲載されておりました。
第1次相続発生後、遺産分割協議未了に状態で相続人が
亡くなり第2次相続が発生しというサイクルを繰り返す、
いわゆる「数次相続」と呼ばれる状態が前提の事例です。
この状態で、被相続人Aの遺産分割で4世代目のGが相続
するという協議内容を登記原因証明情報として添付し、
「年月日B相続、年月日E相続、年月日相続」という原因日付
による所有権移転登記がなされたということです。
照会本文にも掲載されている昭和30年先例にあるとおり、
数次相続発生下における中間において単独相続の場合は、
所有権移転登記を1件でなすことは実務上許容されており、
この単独相続には遺産分割の結果生じたものも含まれます。
解説における【問題の所在】にもありますが、この遺産分割
協議書では中間者B及びEkが単独相続したという事実が
明確にされていないため、当該原因日付における登記申請
における登記原因証明情報として疑義が生じたということです。
本先例通達における本質的部分は、「①第一次相続における
承継者は亡B②第二次相続における承継者は亡E③第三次相続
における承継者はG」というそれぞれの合意について、当該協議書
により①及び②の各合意も包括的に証明されているとされている
点です。
要は権利がある相続人全員が最終的にGが相続することを
協議中で承認しているのだから、①及び②の合意も必然的に
推認されるという流れを示しています。
現状の不動産登記申請において、原則登記原因証明情報の
添付が要求されており、不動産登記申請における登記原因
と登記原因証明情報は密接な関係にあり、登記原因を構成
させる礎の存在であるのが登記原因証明情報です。
本事例における登記原因を公示する上で、この遺産分割協議
内容が忠実にその権利変動の過程を反映しているとは、個人
的には思えません。この先例においては、あくまでは最終的な
権利取得を重視し、中間の相続については相続人全員の合理的な
意思を推認するということで、登記上受理するという帰結になって
います。
本事案において遺産分割協議書を作成する場合に、当事者に
配慮するがあまり、シンプルな遺産分割協議内容にしてしまい
がちですが、やはり中間者であるB及びEが権利取得する内容
の遺産分割協議は別途必要ではないかなと疑問を感じました。
ちなみ法務省のHPでこの通達に関する記載がありまして、通達の
本旨は相続登記の簡素化と利便性の向上にあるらしいです。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00207.html
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志