役員の「補欠」と「増員」の解釈

今年も残す所ひと月を切りました。

毎年毎年早いなあと感じていますが、

今年も同様に感じております。

既にバタバタしてきておりますが、良い

年を迎えられるように、12月も気合を

入れて頑張ります。

 

以前当ブログで役員選任時の補欠役員の

お話をいたしました。

それにも関連しますが、取締役については

「補欠」で選任された場合と、「増員」で選任

された場合に前任又は在任取締役と同一時

期に任期満了することもあります。

 

例えば定款に、「任期満了前に退任した取締役

の補欠として、又は増員により選任された取締役

の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の

残存期間と同一とする」と定めがあるとします。

 

取締役会設置会社の取締役A・B・Cの内、Cが辞任

をしたのでその後任(選任時Cの補欠とは明示されて

いない)としてDが選任され就任したという事例におい

て、『ずばり解説!株式と機関:金子登志雄著』182項

では次のように説明されています。

 

 増員とは現任員数に追加するものです。現任員数を3名と

捉えると、増員取締役になりませんが、~中略~増員概念

は任期計算の判断に過ぎませんから、法定員数とは無関係

です。Cの辞任後数日経た後にDを選任した場合には、

現任取締役は2名だということに違和感がありませんから、

辞任と同時であっても、増員取締役であることに変わりが

ありません。~中略~後任であることと増員であることは

両立します。

 ~中略~補欠は前任者との関係で使う用語であり、増員は

現任者との関係で使う用語に過ぎません。~中略~前任者

Cとの関係で補欠になるのかどうか、現任者ABとの関係で

増員になるのかどうかという問題が生じますから、補欠に該当

しなければ増員にもならないとはいえません。

 

 結論としては、Dは「補欠」取締役ではないが「増員」

取締役として取締役ABの任期満了時に同時に終わる

と解釈できるとなります。

 

 補欠であれ増員であれ会社側の意思としては、前任者

又は在任の取締役と同一の任期満了時期に終了させる

というものでしょうから、欠員補充の増員で変わるもの

はないと締めくくられています。

 

 個人的には増員の概念は法定の員数規定に対して

追加的に取締役を選任した場合のみかと考えていまし

たので、欠員補充の場合も増員とみなすことに少し違和感

があります。

 ただ、著者が言うように会社側が後任取締役の任期の

終着点をどこに置いているかが重要なので、会社側の意思

が最大限尊重されて然るべきなのかも知れません。

 

 

      司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

司法書士法人高山事務所

スタッフ一覧

髙山修二(所長)

高山事務所の代表です。

記事を見る

最近のブログ記事

by 梶原貴志 2021年03月03日

令和元年改正会社法施行

by 梶原貴志 2017年12月11日

登記懈怠について

by 梶原貴志 2017年03月18日

株式譲渡制限規定の定款変更の必要性

by 梶原貴志 2016年09月17日

オンライン申請の特例方式

by 梶原貴志 2016年08月09日

取締役の任期の短縮

by 梶原貴志 2016年02月08日

商業登記規則等の一部改正案について

by 梶原貴志 2015年12月10日

改正会社法施行後の株主総会

カテゴリ