2015年12月アーカイブ

改正会社法施行後の株主総会

師走になりまして、どこか世間はそそくさと

している状況ですが、私もバタバタしている

ような毎日です。

無事に今年が終われるように祈る日々です。

 

今年の商事法務の株主総会白書を見ている

と、5月1日施行の改正会社法を背景に上場

会社はそれぞれ対応を行ったみたいです。

 

①社外取締役を置いていない場合一定の会社

 について「社外取締役を置くことが相当でな

 い理由」の説明義務

②社外役員の資格要件の厳格化

③監査委員等設置会社

④会計監査人の再任等決定機関の変更

⑤企業集団の係る内部統制システムの整備

 義務の法定化

⑥責任限定契約の非業務執行者の拡大

 

等々、文中では紹介されております。

 

②の社外役員の資格については会社法の附則

で、経過規定が設けられておりますので、即時の

対応は免れているのかもしれませんが、どちらに

せよ東証規則には独立役員設置の定めもあり

ますが、各上場企業も社外役員について、改正

会社法も踏まえた再考が必要なのかもしれません。

 

調査結果で、改正対応の割合が大きいのは

「内部統制システムの変更」「責任限定契約

対象拡大の定款変更」「会計監査人の解任

または不再任に関する決定方針の変更」

「社外取締役の選任」の順みたいです。

 

上場企業からすると、やはり自社の企業価値

を維持継続する上でガバナンスは非常に重要

な要素ですから、速やかな対応をした印象です。

後、責任限定契約の定款変更は、実際私も数社

程登記手続をさせていただきましたが、社外役員

資格の厳格化に伴い、非業務執行者への負担

軽減は当然でしょうから、定款の変更が必要に

なったと考えられます。

 

個人的には来年の定時総会に向けて、経過措置

が適用されない様々な規定が出てくると予想さ

れますので、相談対応できるように準備しておく

必要があるなと実感しております。

 

監査等委員会設置会社への移行する上場企業が

増加するなんてお話も聞きますが、上場企業をはじ

めとした日本の株式会社が、投資家の視点に立ち、

より良い企業経営を行える土壌を構築することは

最重要課題と言えますね。

 

 司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

役員の「補欠」と「増員」の解釈

今年も残す所ひと月を切りました。

毎年毎年早いなあと感じていますが、

今年も同様に感じております。

既にバタバタしてきておりますが、良い

年を迎えられるように、12月も気合を

入れて頑張ります。

 

以前当ブログで役員選任時の補欠役員の

お話をいたしました。

それにも関連しますが、取締役については

「補欠」で選任された場合と、「増員」で選任

された場合に前任又は在任取締役と同一時

期に任期満了することもあります。

 

例えば定款に、「任期満了前に退任した取締役

の補欠として、又は増員により選任された取締役

の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の

残存期間と同一とする」と定めがあるとします。

 

取締役会設置会社の取締役A・B・Cの内、Cが辞任

をしたのでその後任(選任時Cの補欠とは明示されて

いない)としてDが選任され就任したという事例におい

て、『ずばり解説!株式と機関:金子登志雄著』182項

では次のように説明されています。

 

 増員とは現任員数に追加するものです。現任員数を3名と

捉えると、増員取締役になりませんが、~中略~増員概念

は任期計算の判断に過ぎませんから、法定員数とは無関係

です。Cの辞任後数日経た後にDを選任した場合には、

現任取締役は2名だということに違和感がありませんから、

辞任と同時であっても、増員取締役であることに変わりが

ありません。~中略~後任であることと増員であることは

両立します。

 ~中略~補欠は前任者との関係で使う用語であり、増員は

現任者との関係で使う用語に過ぎません。~中略~前任者

Cとの関係で補欠になるのかどうか、現任者ABとの関係で

増員になるのかどうかという問題が生じますから、補欠に該当

しなければ増員にもならないとはいえません。

 

 結論としては、Dは「補欠」取締役ではないが「増員」

取締役として取締役ABの任期満了時に同時に終わる

と解釈できるとなります。

 

 補欠であれ増員であれ会社側の意思としては、前任者

又は在任の取締役と同一の任期満了時期に終了させる

というものでしょうから、欠員補充の増員で変わるもの

はないと締めくくられています。

 

 個人的には増員の概念は法定の員数規定に対して

追加的に取締役を選任した場合のみかと考えていまし

たので、欠員補充の場合も増員とみなすことに少し違和感

があります。

 ただ、著者が言うように会社側が後任取締役の任期の

終着点をどこに置いているかが重要なので、会社側の意思

が最大限尊重されて然るべきなのかも知れません。

 

 

      司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志