一昨日、京都では時代祭が行われ多くの
見物客で賑わいました。
ただ、私の事務所は京都御所の南に位置
するため、道路の封鎖によりなかなか事務所
に辿り着けず、大変疲れました…。
今日は一旦成立した遺産分割協議を、後に
なって解除することについて、少し触れたいと
思います。
例えば、遺産分割協議を行う際よく使用される
類型として「代償分割」があります。これは
相続人の1人が相続財産を取得する見返りに
他の相続人に金銭を支払うような約定をもとに
遺産分割協議を成立させるケースです。
この場合、協議後代償金を支払わないことに
起因して、遺産分割協議を解除することが
できるか否かについて、判例は「遺産分割
は協議の成立とともに終了し、後は相続人
間の債権債務の関係が残るだけであること、
遡及効を有する遺産分割の法的安定性を
著しく害すること等」を理由に否定しています
(最判平成1年2月9日)。
対して、共同相続人全員の合意により、既に成立した
遺産分割協議の内容の全部や一部を解除して、
改めて遺産分割協議を行うことは認められています
(最判平成2年9月27日)。
上記のケースで、既に遺産分割協議に基づいて
相続登記がされている場合は、まず錯誤を原因
として既登記の相続登記を抹消し、新たな遺産分割
協議書を登記原因証明情報の一部として添付し、
相続登記を行うことになります(登記研究428号135項)。
所有権の更正登記を行うことはできません。
一度成立した遺産分割協議を再度やり直すことは
稀かもしれませんが、後に禍根を残さないように
相続人それぞれが自らの権利を基準として、明確
な意思表示を行うことは重要です。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志