お盆休みに広島の実家に帰省しました。
やはり、生まれ育った環境というのは、多忙な
毎日から解放されて、メンタルな部分でも非常に
有益なことだと感じました。
一つ気になったのは、屋根が抜け、今に倒壊しそうな
空家と思われる建物が増えていたことです。
昔の町並は未だ残っているものの、こういう風景
を目の当たりにするのは少し寂しいですし、小さな
地方都市としていい意味で再生していって欲しいな
と、改めて思いました。
前回も商業登記規則61条5項による本人確認
証明書の現況をお話しましたが、それに関連
して、登記研究809号で商業法人登記における
「氏名・住所更正」についての記述がありました。
商業登記法132条2項では、「更正の申請書に
は、錯誤又は遺漏があることを証する書面を添付
しなければならない。ただし、氏、名又は住所の
更正については、この限りでない」と規定されて
います。
つまり、現在登記されている役員の氏、名又は
住所を更正したいときは、その誤り(錯誤)を証明
する書面を添付を要することなく、登記申請が
できるということです。
この記述では、商業登記規則が改正により役員
の実在性を担保するという名目で本人確認証明書
の添付が義務付けられたにも関わらず、氏、名又は
住所の更正登記の際は添付不要との取扱とのバランス
がとれないのでは?との疑義が焦点になっています。
著者の神崎氏は商業登記法が改正されていない
ため添付不要との認識を示しており、私も根拠法令
が存在しない以上は添付は不要だとは考えます。
著者は「再任」の場合は、本人確認証明書の添付が
不要とされていることに言及し、錯誤による更正登記
にその証明書面の添付が必要と解するならば、「再任」
の場合に本人確認証明書を添付しないこととの均衡を
失するとしています。
氏、名又は住所の更正登記において、錯誤を証する
書面の添付が不要との取扱は、商業登記規則の改正
趣旨にも鑑みて、その実在性に加えてその人物の正確
な氏名を登記をするためにも、更正登記の際にもその
証明する書面を添付する必要性も少しあるのではないかと
感じます。
添付義務がないにしても、更正登記を申請する前提として、
その錯誤が正当な事由であるか否か関係書類等の提供を
受け、確認するというスタンスを貫くことが肝要ですね。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志