朝晩が涼しくなり、日中もすごしやすい季節になりました。
これから紅葉の季節に入りますので、京都の名所周辺は
例年の如く混雑しそうです。
今年の紅葉は早く始まるそうです。
改正会社法の中でも大きな争点になった「社外取締役の
選任義務付け」ですが、最終的には選任義務付自体は見送られた
形にはなりました。
中間試案の補足説明では、
「取締役会の監督機能のという観点からすれば、取締役会の決議
において議決権を有する社外取締役には、経営の監督に関する
機能として、とりわけ、次のような機能を期待することができると
考えられる。
①経営全般の監督機能
(a)取締役会における重要事項の決定に関して議決権を行使する
こと等を通じて経営全般を監督する機能
(b)経営全般の評価に基づき、取締役会における経営者の選定・解職
の決定に関して議決権を行使すること等を通じて経営者を監督する
機能(経営評価機能)
②利益相反の監督機能
(a)株式会社と経営者との間の利益相反を監督する機能
(b)株式会社と経営者以外の利害関係者との間の利益相反を監督する
機能
として、社外取締役の機能を整理しています。
近年上場会社において散見された不祥事の多くは、取締役会や監査役の
機能不全により生じた事件もありました。その中で会社の事業運営の過程
に、社外取締役の「監督」する立場をより積極的に導入しようとしたのが
社外取締役の設置義務化への論議に発展したのでしょう。
設置義務付けは見送られたものの、改正会社法327条の2では、『事業年度の
末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるもの
に限る)であってその発行する株式について有価証券報告書を提出しなけれ
ばならないものが社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業
年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由
を説明しなければならない』とされ、株主からの要請にもとづくものではなく、
取締役の説明義務として位置づけられました。
この条文については、経過措置が盛り込まれていない関係で、一般的な6月総会
を前提とし、それより前に改正法が施行されると、平成27年の株主総会にはこの
説明義務を果たさなければならない可能性もあります。
この「社外取締役を置くことが相当でない理由」の解釈についてはこれから様々
な角度から議論になるのでしょうが、商事法務№2040で法務省大臣官房参事官
坂本氏は以下のような意見をしています。
《社外取締役を置くことがマイナスになる、「必要でない理由」ではなく「相当でない
理由」だということですので、まず社外監査役が二名いて、わが社は十分それが
機能しているから社外取締役を置くことは不要ですという説明のみがされたとしま
すと、それは「必要でない理由」の説明にすぎないということで、それだけでは足り
ないだろうと考えています。~中略~また、よく適任者がいないということが社外
取締役を置かない理由としていわれていますが、適任者がいないというだけの
理由をもってしては、やはり「相当でない理由」にはならないのではないかと考えて
います》
改正会社法附則25条では、政府はこの法律の施行後二年を経過した場合において
必要があると認めるときは、社外取締役の設置義務付け等所要の措置を講ずると
されており、近い将来社外取締役の設置義務付けが明文化されるかもしれません。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志