今日は祇園祭の宵山ということで、夕方から京都には
たくさんの人が集まるみたいです。
京都の夏の風物詩とはいえ、あの人の大群を見ると、
なかなか足を運ぶ気にはなれず…。
とりあえず、今日も朝から暑いです。
会社法389条で、監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く
非公開会社の監査役は、監査の範囲を会計に関するものに限定する
旨を定款に置くことができるとされています。
非公開会社つまり全部の株式に譲渡制限が付されている会社ですから
日本の中小企業においては、かなり当てはまります。
なぜ非公開会社にのみこのような制限が可能かというと、当該会社では
所有者である株主自身が経営に参加するのが一般的であり、また株主
構成の変動も少なく、株主自身による業務の監督がある程度期待できる
からとされています(落合編・会社法コメ8{吉本健一}446項)。
監査役には会社法381条1項で取締役の業務に対する監査権限が認め
られていますが、非公開会社における監査役については一定の株主によ
る業務執行に対する監督機能が働くため、業務監査を制限しても会社の
事業運営に支障をきたさないということですね。
このような制限をされている監査役は、前述の業務監査の制限以外に
も、取締役による不正行為又は法令定款違反行為等がある場合の取締役
(取締役会)への報告義務(会社法382条)、取締役会への出席義務及び
意見陳述義務(会社法383条)、議案等についての調査義務(会社法384条)
、取締役の違反行為差止請求権(会社法385条)、会社・取締役間の訴えに
おける会社の代表(会社法389条7項)は、適用がありません。
また、このような制限を置いている会社は、「監査役設置会社」とはならない
(会社法2条1項9号)と定義されるものの、登記上では「監査役設置会社」
として登記すべし(会社法911条3項17号)とされています。
この立法的不備は、登記記録上は一見業務監査がある外観を有するのに
対し、実は定款上で会計監査しかないということがある訳ですから、早々に
是正されるべき課題です。
今度の改正会社法では、監査権限の制限の有無が登記事項となるような
趣旨の内容が盛り込まれていますが、社会的な取引の安全性を重視すれ
ば当たり前のような気がします。
日本の会社においては監査役は機能不全に陥っているという論評もささやか
れていますが、業務執行機関たる取締役に対して厳しくチェックできる監査役が
どんどん増えいけば、会社の企業統治の面からも非常に有益であると考えてい
ます。ただ、現在の実情では、日本の監査役の地位は「お飾り」でしかないように
思えてなりません。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志