商業登記における更正

ついにブラジルW杯も開幕しましたね。

試合を観たいものの、基本的に観る時間も無く毎日録画

だけしている状況です(泣)。

私の応援しているイタリア代表も初戦に勝ちましたので、

ホッとしました。

 

 以前不動産登記における更正登記のことを書きましたが、

今日は商業登記における更正登記について。

 

 商業登記法132条には、「登記に錯誤又は遺漏があるときは

当事者は、その登記の更正を申請することができる」とあります。

 

 《錯誤または遺漏》とは、登記しようと欲したところと登記されたところ

が一致しない場合をいう(東京控決、大9,9,9)と解されていますが、

要は、この錯誤または遺漏によって当初から事実と符合しない登記が

されている場合に、これを事実と合致させるための登記です。

 

 例えば、取締役Aについて「平成26年6月●日解任」による退任の登記

申請がなされたところ、Aは解任される以前に辞任をしていたとして、

「平成26年5月●日辞任」と更正登記できるでしょうか。

 

一見、更正登記できそうですがこの事例では、更正登記はできず、Aの

解任による退任登記を抹消し、改めて辞任による退任登記をすることに

なります。

 

 取締役Aの辞任の意思表示の効力は、その意思表示が会社に到達した

時に発生し、会社の辞任に対する同意は不要です。もちろん、辞任により

法定または定款で定まる取締役の員数を下回る場合は、権利義務を有し

辞任の登記ができません。

 

 この事例では、Aの辞任の意思表示は平成26年5月●日既にその効力が

生じており、その後行われた解任決議そのものが無効ということになります。

このことは権利義務取締役になっている場合でも結論は変わりません(昭和

39年10月3日民甲3197号回答)。

 

 

                司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

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