北海道を除き全国的に梅雨入りしました。
ジメジメ虫との闘いの始まりですね。
私は早々と半袖で仕事に励んでおります。
今日は表題の記述が登記研究794号45項にありましたので
少しご紹介をいたします。
質問内容は要約すると以下のとおり
「公益財団法人では理事会の設置は必須とされていますが、定款に
定めを置くことにより、評議員会でも代表理事を選定できますか?」
回答は以下のとおり
「代表理事を評議員会で選定することができる旨の定款の定めがあれば
評議員会で選定可能です」
この中の解説にありますが、一般社団法人では「理事は、一般社団法人
を代表する。ただし、他に代表理事その他一般社団法人を代表する者を
定めた場合は、この限りではない(一般法人法77条1項)」とありますが、
公益財団法人及び一般財団法人にはこの規定はありません。
一般・公益財団法人それぞれ理事会の設定は必須ですから、この規定
は必要が無く、理事会で選定するのが当たり前だから(一般法人法90条3項)。
では、今回の質疑のやりとりである評議員会に代表理事の選定権限を付与する
ことは問題無いのかという点について、「評議員会は、この法律に規定する事項
及び定款で定めた事項に限り、決議することができる(一般法人法178条2項)」
ということを根拠に、理事会の代表理事選定権限そのものを剥奪できないが、
定款に定めをおけば評議員会でも代表理事を選定できるとの実務的見解と
しています。
理事会設置一般社団法人も同様です。
また、取締役会設置会社たる株式会社において、定款の定めを置けば株主
総会で代表取締役を選定することは可能です(商業登記ハンドブック第2版389項)。
会社法295条2項と一般法人法178条2項の立法趣旨は同一であること
から、今回の質疑と同じ解釈が導かれるというこでしょう。
理事会設置一般社団法人や公益・一般財団法人において理事会で代表理事を
選定をすることが困難な事由が生じた時等を想定して、社員総会や評議員会に代表
理事の選定権限を与える旨の定款の定めを置くことは、有用かもしれませんね。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志