宗教法人の財産処分

昨日から風邪をひいたのか、何だか体調が優れない

朝を迎えております。

皆様もお気をつけください。

 

 今日は宗教法人の財産処分についてです。

 京都はその土地柄のため、数多くの寺院が存在し宗教法人の数も

かなりあります。

 不動産登記の関係でも、宗教法人所有の不動産に直面する場面も

ありますが、その際最も気をつけなければならないのは、宗教法人法

23条の「財産処分の公告」と宗教法人法24条「行為の無効」です。

 

 京都のみならず全国にある寺院は、その地域の壇信徒等の信者の寄進(寄付)

により、その財産的基盤を構成しており、不動産をはじめあらゆる財産は

寺院の固有の財産ではなく、宗教財産として保護され永く保護・維持されるべき

公益的な財産です。

よって、その処分を行う際は宗教法人の独断で処分をすることがないよう、規制を

課しているのが、前述の宗教法人法の規定になります。

 

 同法23条1項1号では、「不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に

供する」行為をするときは、その行為の少なくとも1ヶ月前に、信者その他の利害関係人

に対し、その行為の要旨を示し、公告しなければならないとしています。

 

同法24条ではその財産処分が宗教法人の境内地や境内建物(同法3条に定義され

ています)である場合は、善意の第三者を除き無効としています。

 

 また、同法52条2項7号で、規則で別途境内地又は境内建物又は財産目録に掲げる

宝物にかかる同法23条1項1号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その

事項は、宗教法人の登記事項とされていますので、この定めによる手続がされているか

も重要になります。

(例えば、「責任役員会の同意を得て、宗派(包括団体)の代表役員の承認をえなけれ

ばならない」のような記載が法人登記記録に登記されていますので、誰でも確認可能

です)

 

 私は境内地及び境内建物の場合は勿論ですが、それ以外の不動産の場合も広義での

宗教法人の財産ですので、その処分行為をしようとする場合は、上記の公告や事前承認

手続を具備しているか、特に慎重に確認するようにしています。

 その具備要件に少しでも疑義があるのであれば、司法書士の職責として不動産取引を

進めるべきではないと考えています。

 

                       司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

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