2014年5月アーカイブ

株主名簿について

最近、BSのTBSで毎週月曜日21時から放映されている

「吉田類の酒場放浪記」という番組にはまっています。

ただ単に酒場ライター吉田氏が、様々な肴をあてに酒を呑む番組

ですが、観てるこちらも酒を呑んでいる気持ちになり、番組の終わりに

はほろ酔い気分になります。

皆様も、是非ご覧ください。

 

 今日は、株主名簿についてです。

 株主名簿とは、株主(株券発行会社にあっては、株主及び株券)に関

する事項を明らかにするため、会社法121条により作成が義務付されて

いる帳簿です。

 

 会社は、株主名簿の記載内容を基本として株主総会の召集通知を発

したり、剰余金の配当をしたりするため、株主の移転により株主情報に

変更があった場合は、株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株

主名簿に記載し、又は記録しなければ、会社に対抗できません(会社法130条)。

 注意したいのは、株式の移転は特定承継(売買等)に限らず、包括承継(相続、

合併等)の場合も、株主名簿の書換えをしなければ会社に対抗できない点です。

 

 株主名簿の効用として

《会社側》 ・株主資格を有する者が明確になる

       ・株主に対して行う通知又は催告をすべき住所又は連絡先が明らかになる

《株主側》 ・権利行使がより簡便になる

       ・会社が株主に対して行う各種の通知又は催告は、株主名簿に記載又は

        記録された住所又は株主が会社に通知した宛先に対して発せられるため

        (会社法126条1項)、株主が権利行使の機会を確保できる

                                            挙げられます。

 

 株主名簿を正確に管理することで、会社の支配関係や株主権利行使状況について把握

できますし、真正な株主として取り扱ってよいか等の判断にも繋がりますので、一度ご確認

されることをおススメいたします。

 

                         司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

 

相続開始の時期

今日の朝、嫁さんが2人の子供達のためにお弁当を作って

いて、自分の小さい頃を少し思い出しました。

お弁当は作る方は大変ですが、食べる方はあっという間に

たいらげてしまい、私の母も大変だったんだろうなと、申し訳

ない気持ちでいっぱいです。

ちなみに、先日の母の日は実家の母に花を贈りました。

 

 

今日は、相続開始の時期について。

 

 民法882条で「相続は死亡によって開始する」とあります。

死亡と言えば、人間ですから病気や事故により亡くなったり、

そんな場面をイメージされるかと思いますが、法律上はそれば

かりではありません。

 

 上記の死亡は以外に、「失踪宣告」があります。

 失踪宣告は大きく分けて、「普通失踪」「危難失踪」とに分類されます。

 普通失踪は、不在者の生死が7年間明らかでないときに、7年の期間

満了時点で、死亡したとみなされます。

 危難失踪は、戦地に臨んだ方、沈没した船舶に取り残された方、その他

死亡の原因であるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ

後、船舶が沈没した後、又はその他の危難が去った後、1年間明らかでない

ときは、危難が去った時に死亡したとみなされます。

 最近では韓国での旅客船沈没事故のようなケースがあてはまります。

 

 他に、「認定死亡」があります。

 通常は死亡の届出は、親族等の届出義務者によって行なわれます。これに

対し、死亡の蓋然性が極めて高い場合に、取調べ官公署の報告によって死亡

事項が戸籍に記載されます(戸籍法89条)。判例は、「反証のない限り当該戸籍

簿の死亡の日に死亡したものと認むべきである」としています(最判昭和28.4.23)。

 

 また、100歳以上の高齢者の所在が不明で、その生死及び住所につき調査の

資料を得ることができないときは、市町村長より職権消除の許可申請書にその

事由を記載し戸籍謄本及び戸籍附票謄本を添付させ、監督法務局又は地方法務局

の長においてその消除を許可して差し支えないとされています(昭和32.1.31民甲163)。

 では、上記職権抹消により、不動産における相続登記が可能か。

 昭和32.12.27民三1384先例では、これを否定しております。

 高齢者の消除措置は、死亡の日時場所等までも確認したものではない。この措置が

とられた場合には、戸籍には単に死亡した旨が記載し、その日時場所は表示されな

いので、死亡開始の時を認定することは不可能であるため、失踪宣告お申立てが必

要である(昭和46.2.10法曹決義の理由要旨)と、されています。

 

 最近のニュースでも認知症高齢者の徘徊の結果、行方不明になり何年も経過して発

見されたケースもあり、前述の失踪宣告の申立件数も増加していくのではないかと危

惧しております。

 独り暮らしの高齢者世帯数が増えていますが、やはり地域や行政のケアによって

高齢者一人一人を支えていく社会作りが大切ですね。

 

                      司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

宗教法人の財産処分

昨日から風邪をひいたのか、何だか体調が優れない

朝を迎えております。

皆様もお気をつけください。

 

 今日は宗教法人の財産処分についてです。

 京都はその土地柄のため、数多くの寺院が存在し宗教法人の数も

かなりあります。

 不動産登記の関係でも、宗教法人所有の不動産に直面する場面も

ありますが、その際最も気をつけなければならないのは、宗教法人法

23条の「財産処分の公告」と宗教法人法24条「行為の無効」です。

 

 京都のみならず全国にある寺院は、その地域の壇信徒等の信者の寄進(寄付)

により、その財産的基盤を構成しており、不動産をはじめあらゆる財産は

寺院の固有の財産ではなく、宗教財産として保護され永く保護・維持されるべき

公益的な財産です。

よって、その処分を行う際は宗教法人の独断で処分をすることがないよう、規制を

課しているのが、前述の宗教法人法の規定になります。

 

 同法23条1項1号では、「不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に

供する」行為をするときは、その行為の少なくとも1ヶ月前に、信者その他の利害関係人

に対し、その行為の要旨を示し、公告しなければならないとしています。

 

同法24条ではその財産処分が宗教法人の境内地や境内建物(同法3条に定義され

ています)である場合は、善意の第三者を除き無効としています。

 

 また、同法52条2項7号で、規則で別途境内地又は境内建物又は財産目録に掲げる

宝物にかかる同法23条1項1号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その

事項は、宗教法人の登記事項とされていますので、この定めによる手続がされているか

も重要になります。

(例えば、「責任役員会の同意を得て、宗派(包括団体)の代表役員の承認をえなけれ

ばならない」のような記載が法人登記記録に登記されていますので、誰でも確認可能

です)

 

 私は境内地及び境内建物の場合は勿論ですが、それ以外の不動産の場合も広義での

宗教法人の財産ですので、その処分行為をしようとする場合は、上記の公告や事前承認

手続を具備しているか、特に慎重に確認するようにしています。

 その具備要件に少しでも疑義があるのであれば、司法書士の職責として不動産取引を

進めるべきではないと考えています。

 

                       司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

遺産分割協議書の不動産の記載

昨日の京都は葵祭があり、多くの見物客の方が

事務所の前に集まっていました。

当事務所は、京都御所の南側という立地もあり、時代祭の

時も間近に観ることができます。

 

今日は遺産分割協議書の記載について。

 

私どもが遺産分割協議書を作成するケースは別にして、例えば

依頼者ご自身で作成されたり、顧問の税理士が作成されること

があります。

 

その際、相続対象になる不動産の記載が登記の記載より、

かなり省略されている場合もあります。

不動産を特定する場合、原則的には

・土地⇒「所在」「地番」「地目」「地積」

・建物⇒「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」

が、必要記載事項になります。

建物に附属建物がある場合には、その記載も正確にする必要

があります。

 

とはいっても、実際の実務では少々記載が省略されていても問題に

なることはない場合もあります。

下記の質疑応答も関係しているからでしょう。

①土地

  所在、地番、地目の記載があり、登記簿との同一性が確認できるもので

あれば、地積の記載がないものであっても受理して問題ない(登記研究568.181)

②建物

 所在、家屋番号、種類、構造等の記載があり、登記簿と同一性が確認できるもの

であれば、床面積の記載がないものであっても受理して問題ない(同上)

 

 私は登記申請を問題なく具備するためにも、登記の記載を正確に遺産分割協議書に

記載していただきたく考えております。

 

                      司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

公益法人の現在

昨日は京都は30度手前まで気温が上がり、もう夏が

来たのかと思うほどの天気でした。

これから、どんどん暑くなるのは本当にまいります(泣)。

 

今朝の読売新聞の一面に公益法人の記事が掲載されていました。

記事によると、2008年から始まった公益法人改革で2万4317あった

公益法人のうち約3分の1にあたる9204法人が新公益法人へ移行し、

約1万5000法人が新公益法人へ移行しなかったとあります。

 

新公益法人(公益社団・財団法人)の認定をうけるためには、「公益社団法人

及び公益財団法人の認定等に関する法律」に定める認定基準をクリアし、

国または都道府県の認定委員会の認定を受けることで、公益法人になること

ができます。

 

記事にもありましたが、認定基準が厳しいこと及び認定申請が煩雑等の理由により

一般的には公益性の高い事業を行っている法人も、公益認定を諦め一般法人(一般

社団・財団法人)へ移行したケースも多々見受けられるようです。

 

もともとの公益法人改革は、所轄官庁たる認可を要件に設立されていた法人が、天下り

等の癒着による問題や、公益法人の資質そのものが問われる事件が相次いだことを発端

に進められたものです。

社会的見地からその事業に対する「公共性」が認められるにもかかわらず、その認定申請を

断念せざる状況は、制度そのものに欠陥があるのか、手続形態に不備があるのかは見直す必要

があるのでしょう。

 

私もこの移行期間の間多くの法人の方から移行登記申請をお手伝いさせていただきましたが、

全体的にみて一般法人へ移行した数が若干多かったという印象です。

中には所轄官庁の許可を受けて、解散された法人もありました。

 

移行期間が昨年の11月30日に満了し、もう少しで半年が経過しようとしています。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う関係法法律の整備等

に関する法律46条により、移行期間満了までに移行申請をしなかった場合は強制的に

解散させられます。

新聞記事ではその移行審査はほぼ完了したとのことですので、そろそろ「みなし解散」する

法人も出てくるのでしょうか。

 

                        司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

銀行預金の相続

昨日は大手企業の決算の発表がありました。

ほとんどの企業がアベノミクスの影響もあり、増収増益と

なっていましたが、この影響が消費者の購買意欲などを

持続的に刺激するのかは、以前不透明のような気がしています。

 

 

今日は、銀行預金の相続についてのお話です。

相続手続のご依頼をいただく際、亡くなられた方名義の銀行預金が凍結

されて、そのまま放置されているといったお話をよく聞きます。

 

銀行預金は可分債権とされていますので、被相続人の死亡によって法律

上当然に分割され、共同相続人は、その相続分に応じて預金債権を承継

することになり、各自相続分に応じた払戻請求ができます。

過去の判例も上記の立場をとっています(最判昭29.4.8等)。

 

では、実際の所被相続人が1000万円の預金を残して死亡し、相続人が2人

残された場合、それぞれ銀行に対し500万円の払戻ができるでしょうか。

 

法律的建前は前記のとおりですが、銀行は相続人の範囲や相続分が確定的に

判明しないと、超過支払や相続人間のトラブルに巻き込まれるため、銀行所定の

払戻請求書に相続人全員の実印を押印させ、相続人全員の印鑑証明書と相続

関係が判明する戸籍謄本等を添付がある場合や、遺産分割協議書、遺産分割調

停証書等が具備されて、初めて払戻請求に応じているのが実情のようです。

 

しかし、相続人からの払戻にかかる訴訟が提起された場合は、判例自体が変更

されていない以上、各自に払戻請求が認められる可能性が高いといえます。

下級審ですが、銀行が主張する相続開始後遺産分割協議成立前においては、銀行

共同相続人全員の同意に基づきその全員に対して一括して預金の払戻を行うという

事実たる慣習の存在は認められないとした判例もあります(東京地平18.7.14)。

 

多額の預金が残されており相続人間で揉めているケースは別として、訴訟手続まで

とるコストを考えると、銀行の実務姿勢に従う方が圧倒的に多いと思われます。

銀行側からすると一部の者に対して払戻に応じた場合、他の相続人からのクレームが

入るのは目に見えておりますから、銀行の気持ちも分かる気がしますが。

 

                      司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

相続登記における添付書面

昨日、毎月定期購読していた雑誌が出版元会社の破綻により

廃刊になったというニュースをネットで知り、とてもショックでした。

一昔前までは、新聞や雑誌等で知りたい情報を得るのが一般的

でしたが、現代はインターネットをはじめ様々なツールで情報を取得

できる時代ですから、そんな要因も関係しているのかなと少し寂しく

なりました。

 

今日は相続登記における添付書面のお話です。

現在の不動産登記法では相続により権利移転登記を申請する場合には

添付書面として「登記原因を証する情報」として、①相続を証する市町村長

その他の公務員が職務上作成した情報、及び②その他の登記原因を証する

情報とされています(不動産登記令別表22項)。

①は、各役所発行の戸籍・除籍謄本等であったり、家裁の書記官は作成した

相続放棄申述受理証明書(相続放棄したことの証明です)や、遺産分割の審判

書、調停証書の謄本等があります。②は、被相続人作成の遺言書、遺産分割

協議書、寄与分を定める協議書等が典型です。

 

法務局が上記書面が「登記原因を証する情報」として添付され申請があった場合に

特に注意して審査するのは

 

 Ⅰ 戸籍・除籍謄本等の情報について、相続の開始時期がいつか

 Ⅱ すべての相続人を明らかにするに足る情報が添付されているか

 Ⅲ 自筆証書遺言については、検認の手続がされているか

 Ⅳ 遺産分割協議書については、協議に参加する資格がある相続等の全員が参加

   しているか

 

の、事項になります(不動産登記実務研究会 編著「権利に関する登記の実務Ⅲ 第2編」)。

 

Ⅰは、相続開始時期によって適用される法令つまり民法が異なるためその特定が重要に

なります。民法は明治時代に制定されていますが、現在にいたるまで何度か改正をしてい

るため、法律で決められる相続人が異なったり、法定持分割合が違ったりします。

Ⅱは、戸籍謄本等により法律で規定されている相続人全員が特定され、その者達が適正な

方式により権利を取得しているかどうかを判断します。

Ⅲは、自筆証書遺言は民法1004条1項で家庭裁判所の検認を受けなければならないとされ

ていますので、登記実務においても、検認手続を経ていないものは遺言書として認めてくれま

せん(平成7.12.4民三4344通知)。

Ⅳは遺産分割協議書の当事者として法定の権利を有し、またその関係に利益相反関係が認め

られる時は特別代理人の選任があるか等が審査されることになります。

 

上記の審査基準を踏まえて、過去の質疑応答では

『「相続人中の1名であるAに相続させる」との文言のある遺言書を添付して相続登記申請する

場合、相続証明情報は被相続人の死亡の事実及びAが相続人であること明らかになるもので

足りる」(登記研究386号)』

『「甲土地を弟Aに相続させる」旨の遺言書を添付して相続登記申請する場合、相続証明情報

は被相続人の死亡の事実及びAが遺言書の弟であることを称する戸籍謄本ほか、他に先順位

の相続人が存在しないことを証する除籍謄本等を添付すべきである(登記研究205号)』

が、あります。

前者はAが相続人であることが判明する以上は、それ以上の情報を求めないという趣旨で

しょう。後者は、所有権移転登記原因を「相続」とする以上は、弟Aが法定の相続人である

ことを証明しなければならないという解釈に立っていると考えられます。

 

 

                         司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

 

 

 

取締役の資格

GWも終わりまして、皆様休日モードになったカラダに鞭打って

出勤されていると思います。

私もその一人です。

にしても、朝と日中の寒暖差が大きいので体調管理には気をつけねば

なりませんね。

 

今日は取締役の資格についてです。

会社法331条で取締役の資格について定められており、以下に該当する方は

取締役に就任することはできません。

① 法人

② 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者

③ 会社法若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反し、又は以下の

法律中の本条1項3号に規定された罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行

を受けることができなくなった日から2年を経過しない者

 ⅰ 金融商品取引法

 ⅱ  民事再生法

 ⅲ  外国倒産処理手続の承認援助に関する法律

 ⅳ 会社更生法

 ⅴ 破産法

④  ③に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁固以上の刑に処され、

その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予

中の者は除く)

 

つまり、刑法上の犯罪を犯しても禁固に至らない罰金刑である場合には上記の資格制限に

該当しませんので取締役に就任することは可能ですが、会社のコンプライアンスの問題として、

そのような人間を役員として選任することは、実際は避けられているのではないでしょうか。

 

上記の資格制限以外にも、会社の定款の定めとして

「取締役を成年者に限定する旨」

「取締役を日本人に限定する旨」

「取締役に定年制を設ける旨」

を置くことは合理的範囲内で、許容されています。

但し、公開会社では、定款の定めをもってしても「株主に限る」ことはで

きません(会社法331条2項)。

理由は、公開会社において、広く適材を得ることができるようにするとともに、

取締役を大株主に限定して小株主を締め出すという弊害を防止するためです。

 

非公開会社ではオーナー会社が多いですので、取締役を株主に限定する定めを

置いているところは結構見受けられます。限られた事業規模における会社の継続性

を見据えた上の措置といえます。

 

ちなみに会社法の施行に伴い、旧商法254条の2第2号「破産手続開始決定を受け

復権せざる者」は欠格事由から削除されました。日本の中小企業の経営者が会社

の債務を個人保証することは未だ金融機関からの要請で多い実情を考慮して、破

綻した企業経営者に再起の機会を与える趣旨とされています。

これに対し、会社と取締役の関係は民法上の委任契約に基づきますので、受任者たる

取締役が破産手続開始決定を受ければ委任関係の終了事由になりますので退任する

ことになります。

 

                               司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志

相続における葬儀費用

明日から本格的な連休ですね。

私は明日は一日研修の予定で、その後は特に予定は無い

ので、家族とゆっくり過ごそうかと思っています。

明日以降はどこもかしこも混みそうですね…。

 

先日ある公証人と葬儀費用の遺言事項について少しお話する機会があったので、

今日は葬儀費用についてのお話です。

 

たまに相続登記等の受任時に被相続人の葬儀費用について、兄弟の誰が負担

したらよいのかというご質問をいただいたりします。

過去の判例を振り返ってみると上級審のものはあまり無い状況で、3つの説が

唱えられてます。

①喪主負担説⇒葬式方法を決定するなど実質的に葬式を主催した者(喪主)が負担

          すべきである。

②相続財産負担説⇒相続財産の中から支払われるべきである。

③慣習・条理説⇒その地方又は死者の属する親族団体内における慣習もしくは条理に

           従うべきである。

 

 相続発生後の遺産分割協議において、葬式の実質的主催者が負担すべきである

が、実質的主催者が存在しない場合は、相続人全員が主催者であり(喪主は形式的

位置づけ)、葬儀費用は共同相続人全員の負担となる。よって、共同相続人が実質

的主催者と考えられる場合は、葬儀費用の分担、立替金の求償等の問題は遺産分割

審判のなかで処理すべきであり(伊藤昌司「新版注釈民法(27)373項)、相続財産

がある程度残されている場合においては、相続人全員の合意をもって相続財産から

支払うこと自体は何ら問題がないと言えます。

 

 葬儀費用は高額になるものが多いですので、遺産分割調停事件では喪主を

務め葬儀運営を行った者に対する疑問が一方当事者からぶつけられることもあるようです。

 そのような場合は、葬儀から発生した費用明細をより詳細に提示させ、その支出の

正当性を証明させ、それぞれの実質的均衡をはかりながら、調停条項を作成をしている

ようです。

 

                     司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志