世間は今日からGWスタートのようです。
日本の総人口の何割くらいが、大型(?)連休を取得できている
のしょうか。
少なくとも、「今日から5月6日まで休みです」なんて方は私の
まわりには存在しません…。
今日は、取締役会非設置会社における代表取締役についてのお話です。
(株式会社の代表)
第349条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が2人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
3 株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。
と、会社法では規定されています。
日本の中小企業のほとんどは、非公開会社か特例有限会社であり、非公開会社は
取締役会の設置は任意になりましたので、取締役会自体置いてない会社もたくさん
あります(特例有限会社はそもそも取締役会を置けません)。
(実例)
取締役会非設置会社の甲株式会社の役員構成は、以下のとおりです。
取締役 A B
代表取締役 A
この前提で、代表取締役Aが死亡してしまいました。取締役Bは当然に
代表取締役になると解釈してよいのでしょうか?
(結論) 必ずしもそうとはいえず、甲株式会社の定款の定め次第になる。
取締役が1名になった場合、自動的にその取締役が代表取締役になる旨の
定めがあれば別ですが、一般的に「代表取締役として定められた取締役が
死亡した場合であっても、一旦代表取締役を定めた以上、死亡後も引き続き
会社法349条1項但書が適用され、残された取締役が当然に代表権を有する
こととなるわけではない(相澤哲他編著『論点解説/新・会社法』309項)とされています。
定款に別段の定めもないのであれば、取締役1名は許容されますが、代表取締役は株主
総会で定めることを念頭に置いているのでしょうから、Bは株主総会にて代表取締役に選定
されない限り、代表取締役にはなりません。
また、定款上に「取締役2名以上を置き、」とあれば、取締役の欠員状態ですので、早急に
取締役を選任し、複数にした上で、代表取締役を定める必要があります。
定款上「取締役2名以上いる場合は、取締役の互選により代表取締役を定める」とある
会社は、取締役が1名になる場合は、その取締役が代表取締役の地位にあることを許容してい
ることになります。
この場合は、代表取締役Bの選任行為や就任承諾自体がないため、代表取締役の選定
についての議事録の印鑑証明書、代表取締役としての就任承諾書及び当該書面に係る
印鑑証明書は、添付書面とはならないが、定款の定めに基づき代表権が付与されるため、
事例中のBの代表権付与の登記の際は、定款の添付が必要になります。何故なら、前述の
とおり、Bの代表権は法律上自動的に回復する訳ではないからです(松井信憲『商業登記
ハンドブック第2版』)。
定款の定めによって、どのような登記を行う必要があるか判断することになりますので、や
はり、依頼の最初の段階での定款内容の確認は必須になりますね。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志