新年度がスタートする企業の方々にとっては、決算を迎えられた所も多いのでは
ないでしょうか。
となると、決算の承認にかかる定時株主総会を開催を予定されている会社も
多いということになります。
今日は、株主総会議事録について触れます。
株主会社において株主総会を開催した場合、株主総会議事録の作成が法律
上定められているのはご存知のとおりです(会社法318条)。
この議事録の内容は、会社の好みで作成して良い訳ではなく、記載する内容は
法定されています(会社法施行規則72条3項)。
①開催の日時・場所
実際に開催をされた場所を記載します。テレビ会議・電話会議システムの使用等に
より開催することも認められますが、この場合は、開催場所に存しない役員等の出席
方法として、情報伝達の双方向性と即時性が確保されている状況を基礎づける事実
も議事録に記載・記録しなければなりません。
②議事の経過の要領及びその結果
議事の経過については、速記録のような詳細なものである必要はなく、「要領」の記載
・記録で足ります。
実務上様々議事録を拝見する機会が多いですが、会社によっては非常に詳細な議決に
至るまでのやりとりを記載されてたりします。
③会計参与・監査役・会計監査人の法定の意見・発言の概要
監査役等による株主総会提出議案・書類等の調査結果の報告等があるときは、その内容
の概要も記載しなければなりません。このような、記載をするケースは極々稀でしょう。
④出席した役員・執行役又は会計監査人の氏名・名称
この記載がされていない議事録が結構あります。その株主総会で任期満了する役員がいる
場合に、再任される場面や新任候補者が総会に出席している場面において、登記申請に必要
になる「就任を承諾をしたことを証する書面」として当該議事録を援用するときに、記載中に「被
選任者は即時就任承諾した」という記載があっても、この記載が無ければ、援用できないケー
スがありますので、必ず記載するよう注意してください。
⑤議長の氏名
議長について定款に定めがある会社がほとんどでしょうから、その定めに従った議長を記
載します。
⑥議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
この取締役は通常代表取締役とされるケースが多いとは思いますが、代表取締役以外
の取締役でも議事録の作成をすることはできると会社法の立案担当者は言っているそうです。
ちなみに、議事録作成取締役は、条文上、必ずしも「株主総会に出席した取締役」とはされ
ておりませんので、株主総会終結の時をもって選任された新任取締役が作成できる見解と、
株主総会に出席していない取締役が議事録を作成することは適切ではないとする見解があ
ります。
私は、株主総会議事録そのものは総会終結後において、その会議体の実在性を証明
する重要な証拠と考えておりますので、後者を支持しております。
最後にご存知のとおり定款に別段の定めがある場合は除き、株主総会議事録には条文上、
署名又は記名押印義務はありませんが、やはり前述したとおり株主総会議事録の本質的意義
を考えるならば、署名又は記名押印がある議事録を作成すべきでしょう。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志