日本列島が灼熱地獄の如く暑いですが、皆さまはお変わりないでしょうか。
こんにちは、司法書士法人高山事務所の司法書士の梶原です。
京都はお盆の時期を過ぎても、茹だるような暑い日が続き、私も外に出る
度、うんざりしております。
皆様もどうか体調管理だけは、お気をつけください。
今日は、売買における登記原因証明情報特にその中でも法律行為における事実
について、書いてみようと思います(今回は売渡証書ではなく、法務局へ差入形式のものに限って
書きますので、あしからず)。
通常の不動産売買の場合、お取引される金融機関等でお立会する場面が私ども司法書士
には多々ございますが、京都においては売主を担当する司法書士と買主を担当する司法書士
が別になるケース(いわゆる「わかれ」)がよくあります。
売主担当の司法書士は、所有権移転登記に必要な登記原因証明情報の作成を行います。
大まかな内容は、①登記申請情報の要項と②登記の原因となる事実又は法律行為で構成されています。
私が今日書くのは、売買における②についてです。
民法に規定される売買とは、民法176条の意思主義に照らし、契約締結と同時に
所有権の移転の効力が生じます。
よって、売買契約書に何等特約もないのであれば
「登記原因となる事実又は法律行為
(1)平成 年 月 日買主Aと売主Bは、本件不動産につき、売買契約を締結した。
(2)よって、同日、BからAに本件不動産の所有権が移転した。」
と記載するのが適切です(これをパターン1とします)。
ただ不動産仲介業者の方が作成される売買契約書には、通常「本件不動産の所有権は
、売買代金全額を買主が売主に支払った時に移転する」のような、いわゆる移転時期特約
が取り決めされているのが、ほとんとです。
この場合の記載は、
「(1)平成 年 月 日買主Aと売主Bは、本件不動産につき、売買契約を締結した。
(2)上記売買契約には、所有権は売買代金全額を支払ったときに移転するという特約が定め
られている。
(3)AはBに対して、平成 年 月 日に上記売買契約に基づき、売買代金全額を支払った。
(4)よって、同日、BからAに本件不動産の所有権が移転した。」
になります(パターン2とします)。
たまに売買契約と代金の支払を同一にする取引(一括取引)もありますが、私は売買契約書を確認して
パターン1かパターン2なのか判断して、登記原因証明情報を作成します。
私が買主担当の司法書士で、ご一緒させていただく売主担当司法書士の先生の中に、ごくまれではありますが、
移転時期特約がついているにも関わらず、パターン1の登記原因証明情報を作成されている方がいらっしゃいます。
その場合、先方より了承をもらい修正を行うようにしております。
登記申請が無事に完了するという観点に立てば大きな問題にはならないのかもしれませんが、私達司法書士に課されている
職責を考えると、やはり現実に発生している法律行為を素直に見つめ、実体行為そのものを登記原因証明情報に反映させる
ことが最も重要ではないかと強く感じています。
一括取引の場面で、パターン1の記載に「買主の代金の支払の事実」をプラスしたような記載の
登記原因証明情報を渡されたこともあります。
代金支払は売買においては、あくまで同時履行の抗弁であり、要件事実ではないので、代金支払のみ
をプラスアルファで記載するのも、やはり適切とは言えないのではないでしょうか。
売買といっても、売主の態様(成年被後見人の居住用不動産の売却、破産管財人の任意売却等)によっては
様々な要素が加わることもあり、複雑になるケースもあります。
私ども司法書士は売買における依頼者の権利保全を第一の目的とし、執務にあたっておりますので、
何かご相談ごとがございましたら、お気軽にお声掛けいただけると幸甚です。
あー、今日も暑い。。。
司法書士法人高山事務所 司法書士梶原貴志