前回のブログから長らく間が空いてしまいました。
皆様、いかがお過ごしょうか。
6月に入り、関西地方も梅雨入りしまして…今日は晴れてはいますが雨が
これから続きそうです。
ジメジメして、不快指数がMAXな日が多くなりますね。
6月といえば一般の会社は定時総会の時期ですが、公益法人も3月
決算の法人が多いため、この時期は定時総会が開催される時期です。
それに併せて、代表理事の交代をされる法人もいくつかございます。
代表理事が理事としても定時総会終結時に退任(辞任)し、
その後に開催される理事会で新たな代表理事を選定するケースが
今回のお話です。
理事会議事録には、一般社団財団法95条の適用がありますので
原則出席理事及び監事の署名または記名押印が必要です。
公益法人の特有な規定として、同条中の括弧書き規定があります。
これは、『定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を
当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該
代表理事』と出席した監事のみでよいという、例外規定です。
以上を踏まえて、今回のケースでは理事会議事録には誰が押印するのが
適切と言えるでしょうか。
従前からいる代表理事は、直前の定時総会終結時点で理事としての資格を喪失
していますので、勿論この理事会決議には参加できません。
となると、この理事会で選定される“代表理事”は一般社団財産法人法括弧書き
に定義される“代表理事”として解釈されるのでしょうか。
①もし、そのように解釈するのであれば、当該理事会議事録に新代表理事と
出席監事が記名押印することになります。
一般社団財産法人登記規則3条で、商業登記規則61条4項を準用していますので
新代表理事と出席監事は実印を押印し、かつ印鑑証明書を添付する必要があります。
②反対に、この新“代表理事”を、一般社団財団法人法95条括弧書きの“代表理事”と解釈
しなければ、原則に戻りますので出席理事及び監事全員が理事会議事録に記名押印し
なければならなことになります。この場合は、全員の個人の実印及び印鑑証明書の添付
が必要です。
この疑問に対し、私は管轄法務局に対して照会をさせていただきました。
すると、法務局の見解は②とのことでした。
つまり、一般社団財団法人法95条括弧書きの“代表理事”とは、当該理事会が開催
される段階で存在する“従前の代表理事”であり、当該理事会で選定される代表理事
は含まれないとの考えでした。
私の勝手な思いこみですが、①または②の運用は全国の各法務局で異なっているのでは
ないでしょうか。
当該括弧書き規定の立法趣旨は、公益法人の理事の方は例えば某大学の教授であったり、
某企業の役員であったり、または某市町村団体の長であったり…と一般の会社とは異なるため
議事録への押印義務の負担を軽減するために設けられたと個人的には認識しています。
また特例法人の時代から議長と選任された議事録署名人数名の押印で対応していたという流れ
を引き継いでいるのもあると思います。
公益法人へ移行完了している法人は年々増えてきていますので、そろそれ統一的な運用がハッキリ
すればと、常日頃感じております。
司法書士法人高山事務所
司法書士梶原貴志